2019年7月25日木曜日

2

・今年の梅雨は、梅雨らしさを通り越した雨の多さで気が滅入ってしまう。今や真夏でもジメジメした陽気だが、それでも良いから太陽の上がる夏空が待ち遠しい。

・ところでみなさん、各々に楽しんでいるスケールやゲージがある事と思う。1つだけという人もあれば、2つ3つ、果てには手当たり次第に手を出して、持っていないものを探した方が早いような人もいるだろう。スケールやゲージの選択は言うまでもなく個人の勝手であって、何を選ぼうと自由である。とは言っても、大きなスケールになればそれなりに金額も大きくなるし、発売されている車種も限られるので、自作でもしない限りは自ずと選択肢が絞られてくる。それはもう仕方ないとして、それ以外の理由を考えてみて欲しい。手に持った時のサイズ感や、走らせた時の挙動、再現したいディテール、細密感などなど。全く同じプロトタイプでも、サイズが違うだけで随分と受ける印象が変わったりする。大きいものには大きいなりの良さがあるし、小さければ小さいなりの良さがあるのだが、これは実際に手にして見ないとなかなかどうして理解されない。
・理解されないだけならまだしも、このところ自分の好きなスケールを賛美するために他のスケールを貶める人が見受けられる。当人にそのつもりはなくても、貶められる方はたまったものではない。他のスケールを嗜好している人に良さを伝えたければ、相手のスケールの良さも認めた上でないと相手にされないことくらい、少し考えれば分かると思うのだが。

・スケールに関する価値観に触れたので、このついでに素材に関する価値観にも触れておきたい。ここで指しているのはボディの主素材のことで、とどのつまりボディが金属主体なのか、はたまたペーパーやプラが主体なのかという話だ。
・現在、身の回りを見渡す限りではペーパーモデルは少なく、プラか金属が多いように感じる。これは製品の数や入手製に起因するもので、特にNゲージや海外製HOはプラ製品が主体である事から当然の様相だと思う。金額で比べれば安価なのはプラかペーパーで、ダイキャストを除く金属製モデルとは少なくとも2〜3倍、最近では10倍近い開きのある製品も見られる。ここで勘違いしないで欲しいのは、高いからといって必ずしも良いものとは限らないという事だ。高いものが安いものに負ける事があってはならないと思ってか思わずか、金属製モデルが好きなのは結構なのだが、何かにつけてプラやペーパーの製品を見下す人が散見される。
・金額が安い方が購入は容易であるし、多くの人が手に出来る以上、希少価値は薄れるだろう。しかし、それだけの事である。これによって、その素材の魅力が失われるなんて事はありえない。金属、プラ、ペーパーにはそれぞれに良さがあり、向き不向きがある。例えば、窓ガラスとボディの一体感ではプラ製品に、木製車両特有の歪みや丸みならペーパーに、表見の平滑度や全体の強度では金属製品に分があるだろう。もちろん、必ずしもそうと言うわけでなく、中には金属と見まごうような手の切れそうなペーパモデルも存在するし、プラ製品よろしく金属製モデルに巧みな窓ガラス処理を施しているモデルも存在する。こうなってくると、どの素材が優れているということは無く、得手不得手、好みの話と言えるのではなかろうか?
・ちなみに筆者が1番好きな素材は金属だが、これは素材が硬いために加工で失敗する可能性が低く、ろう付け出来ることから小部品であっても接合強度に安心感があるほか、溶剤が浸透しないために何度でも塗装をやり直せる安心感があるからであって、手に持った時の重量感があるからとか、質感が良いからという理由では無いことを書き添えておく。

・知っている方にとっては今更かもしれず、その際は読み飛ばして頂きたい。モーターの定格電圧に関する話である。今では主流と思われるPWM方式のパワーパックだが、これを使うときはモーターを始めとした電気部品の定格電圧に気をつけないと部品を破損するかもしれない。PWM方式のパワーパックの場合、電源が12Vの場合は12Vを流す時間を変えることで擬似的に電圧を変化させているため、わずかとはいえモーターには12Vの電圧がかかることになる。何が言いたいかというと、鉄道模型の最高電圧は12Vだから、これが想定されていれば問題ないのだが、車体が小さい車両などでこれ未満のモーターを使用しているとなると、モーターが損傷する可能性があるのだ。モーターを選ぶ際は、定格電圧が12V以上であるものを選びたいし、止むを得ず耐電圧の低いものを使うときは、特に注意が必要だろう。時折耳にする、PWMパワーパックだとコアレスモーター が壊れるという話の発端も、多くの場合でこれが原因なのではないかと思う。
・もちろんこれはコアレスモーターに限らずコアードモーターでも同じことが言える。ただし、コアレスモーターの方がレスポンスが良いため、コアードモーター以上に気をつける必要がありそうだ。また、PWM方式のモーター制御はパワーパックだけでなく、DCCのデコーダーによる制御でも用いられている。特にHO以上のスケールの場合、線路電圧が15V以上である事も想定する必要があるので注意したい。
・かような事情もあり、最近はモーターの定格電圧をよく調べるのだが、模型メーカーのホームページを見ても定格電圧が分からないことがある。特に動力ユニットに至っては、使用モーターの型番すら分からない事があって参ってしまう。模型メーカーからの情報がない場合は、モーターメーカーのホームページを見ればほとんどに場合はスペックが掲載されているので、これらをまとめた一覧表を作る必要がありそうだ。

・今月はなんだか愚痴ばかりなってしまった。もとより読者の多いブログでは無いが、これでは流石に申し訳が立たない。来月はもう少し工作に役立つような話題も盛り込みたいと思う。